「テンパウンド 釣れない」で検索してきた方へ
■はじめに
このブログへの検索ワード上位に常に入っているのが「テンパウンド 釣れない」です。この検索ワードで来た方の参考になるような記事を書きたいと常々思っていたこともあり、今回は「テンパウンドで釣るために」というテーマで書きたいと思います。
※テンパウンドさんに限らず、管理釣り場(エリアトラウト)に挑戦して心を折られた方には参考になるかと思います。
■なぜ釣れないのか
テンパウンドでよく見かける光景があります。オープン直後ではなく午前11時くらいに来て、適当な場所に入り、あまりルアーチェンジもせずに2時間くらいで1~2匹釣って(あるいは坊主で)帰る。
このパターンで「釣れない」と仰るのであれば、管理釣り場(あるいはエリアトラウト)そのものへの認識を改めた方が良いです。餌釣りメインのいわゆる釣り堀と、キャッチアンドリリースが主体の管理釣り場は難易度に天と地ほどの差があります。「お金を払うんだからバンバン釣れて当然」とか、「お金を払って簡単に釣らせてもらうような釣り」という先入観をきれいさっぱり捨てた先に道は拓けます。
少し話が遠回りしましたが、「なぜ釣れないのか」という問いに対する答えは
1)タイミングが悪い
2)釣座(ポイント)が悪い
3)ルアーが合っていない
この3つの要因が考えられます。
それぞれの要因について少し細かく説明すると
1)タイミングが悪い
これに関しては必ずしも朝イチが釣れるという訳ではないのですが、11時~13時の正午前後2時間は経験上最も釣れない時間帯です。(もちろん例外の日もあります)
また、午後よりは午前中の方が釣れる傾向にあります。自分は基本的に6時間券で入るのですが、6時間やると大体どこかしらで活性の高い時間帯があり、一日を通して全く釣れないということはありません。その日、どの時間帯で魚の活性が上がるかは分からないため、最低でも3時間、できれば6時間はやってみてください。
2)釣座(ポイント)が悪い
通っていると魚が溜まりやすい場所とそうでない場所が分かってくるのですが、基本的な傾向としては1stポンド(奥の一番広いポンド)の2つあるインレット付近が安定して釣れます。朝イチここに入れるかどうかで、その日の釣果が大きく変わるということも珍しくありません。あとは日によって魚影の濃い場所薄い場所があるので、移動を面倒くさがらずに魚がいる場所を探しましょう。
3)ルアーが合っていない
管釣りをやり込んでみて改めて思ったのは「ルアーを見慣れている魚はルアーに対して非常にセレクティブ」ということです。生まれてこの方ルアーを見たことがないというような海の魚と違い、管釣りの魚はルアーごとの微細な違い(形状、動き、色etc...)で反応が大きく変わってきます。これが管釣りの面白さであり、難しさでもあります。ではどうすれば釣れるのかというと、手持ちの武器(ルアーのバリエーション)を増やすしかありません。
とは言え、闇雲にルアーを買っていたのでは遠回りになってしまうので、ある程度釣れる可能性の高いモノに絞って買いそろえていくべきなのですが、それがまた難しいんですよね。
詳細は別記事に譲るとして、ここではざっくり種類別に以下のルアーを揃えることをお勧めしておきます。
・1g前後のスプーン
⇒スプーンは本当に沼なので、ここではあまり掘り下げませんが、渓流・レイク用の重いスプーンは持ち込むだけ無駄ということはお伝えしておきます。スプーンだけで一日釣れ続く日もあれば、スプーンでは全く反応がない日もあるので、そういうときは早々に他のルアーに切り替えることをお勧めします。
・小さめのクランク
⇒クランクも多種多様なので、選択が難しいところですが、テンパウンドで使うなら小さめのスローシンキングタイプがお勧めです。(傾向としてはアピール弱めの方がよく釣れます)
・ボトムルアー各種
⇒テンパウンドでは必須です。ボトムの引き出しの多さは釣果に直結します。メタルバイブ、ボトムプラグ、ボトムスプーンなど、ボトム狙いのルアーはとりあえず買っておいても無駄にはなりません。ボトムは季節を問わず釣れます。
■ある程度釣れるようになってきたら
ここまで、釣れない要因と釣るために必要な道具について書いてきました。釣れない3大要因を見直し、ある程度必要なルアーの種類が揃っていれば、6時間やって一匹も釣れないということはほぼなくなるはずです。(もしここまで書いてあることを実践して一匹も釣れなかったら私にご相談ください)
ここから先は安定して「数」を釣る(=釣果を伸ばす)ことに主眼をおいて書きます。まずは釣果を伸ばすために必要な要素を列挙してみます。
1)魚の絶対数
2)魚のフレッシュさ
3)魚の活性
4)そのときの魚に合ったルアー
5)ルアーを有効に動かす技術
各要素について、一つずつ見ていきます。
1)魚の絶対数
当たり前のことを書きますが、目の前のポンドにいる魚の数は(放流やキープがなければ)一日を通して変わりません。そして一度釣られた魚は警戒してしばらく(少なくとも同日)は釣れないと考えると、そのポンドにいる魚の総数が一日で釣れる理論上の上限ということになります。同じ管理釣り場でもポンドによって、あるいはタイミング(放流直後かそうでないか)によって魚の絶対数は異なります。
これは当たり前のことなのですが、実際には全ての魚が見えているわけではないので、意外と見落としがちな要素です。
例えば目の前のポンドに魚が100匹いるいとします。そして、そのポンドで釣りをしている人が自分を含めて5人いるとすると、5人で100匹を取り合うことになり、均等に釣って1人20匹という計算になります。
仮にすごく釣る人が1人で80匹釣ったとすると、残りの4人は1人あたり5匹程度しか釣れないことになります。つまり、数を釣るためには「魚が多くて人が少ない」という状況がベストです。
ちなみに、ここ最近のテンパウンドではゴールデンウィークやシルバーウィーク前に放流が入ることが多いようです。
2)魚のフレッシュさ
放流直後がなぜ釣れるのかというと、前述の魚の絶対数が大きく増えるというのが一つと、もう一つはルアーを見慣れていないフレッシュな魚が増えるという要素がとても大きいです。どれだけ釣れるルアーも、同じ釣り場で使い続けると魚が見慣れて釣果は落ちてきます。そこに放流でフレッシュな魚が入ると、また釣れるようになるという現象が起こります。また、放流以外でも休業日の翌日や、悪天候が続いた日の翌日などは魚の警戒心がゆるみ、比較的フレッシュな状態になる傾向があります。
3)魚の活性
その日の水温が魚にとって快適な水温(適水温)より高すぎても低すぎても活性は下がります。ニジマスの適水温は8度〜15度と言われているようですが、例えば同じ水温8度でも前日より下がっての8度では活性が低く、上がっての8度では活性が高いというようなことが起こりえます。(特にエビデンスがあるわけではなく経験則です)
また、天候によっても魚の活性は変化します。晴天無風よりは、曇りや雨・雪、多少風がある方が活性は上がる傾向にあります。
1)~3)をまとめると、数を釣るのに有利なタイミングは季節で言うと春・秋、週で言うと平日・休業日明け、時間で言うと午前中ということになります。これらを踏まえて、自分の場合は(行くタイミングを選べる場合は)金曜日(定休日明け)の朝イチで入ることが多いです。逆に月曜日は土日で叩かれて魚の警戒心が高くなっており、他の曜日に比べると若干数が伸びない傾向にあります。
4)そのときの魚に合ったルアー
自分は管釣りにある程度慣れてきた頃、一つの疑問を持ちました。それは「放流が入らない限り、魚の警戒心は高くなる一方でルアーはより小さくよりアピールを弱くしていく必要があるのでは?」というものです。しかし、この考え方は間違っていました。その理由は、魚は釣られたことを忘れる(あるいは覚えていても釣られてしまう)し、警戒心が高いからと言って必ずしもアピールが弱い方が釣れるとは限らないからです。同じ魚でも、日によって、あるいは時間帯によって、あるいは状況によって活性・警戒心の高さは変化します。
例えば、その日の魚の活性が高くスピードが速ければ、警戒心が高くても(放流されてから時間が経っていてルアーを見慣れていても)速く動くルアーの方が釣れます。逆に、魚の動きがスローなときに速く動くルアーを使っても魚が追ってこないので釣れません。
また、ルアーごとに攻めることのできる範囲が異なりますので、魚の数が多く、なおかつやる気のある魚のいる場所を狙えるルアーを選択する必要があります。例えば、手前のかけ上がり付近の表層に魚が多くいるように見えても、実はその魚たちは警戒心が高くルアーには全く反応を示さないというようなこともよくあります。その場合、手前の表層は潔く諦めて沖やボトムを狙った方が数は伸びることが多いです。
5)ルアーを有効に動かす技術
そのときの魚に合ったルアーを選択することができていても、結果が出ないこともあります。当然ですが、ルアーはアングラー側が動かして初めて魚を釣ることができます。この「ルアーを有効に動かす」という部分が、アングラー側の技量・経験によって釣果に大きな影響を与えます。
例えば、「スプーンは一定のレンジを一定の速度で巻くことが重要」と言われていますが、ただ投げてカウントダウンして一定速度で巻くだけではこれが実現できていなかったりします。
クランクでも、最初にどこまで潜らせてポンドのどの辺りをどのくらいの速度(振り幅)で巻いてくるのかなど、常にどの場所でどのように動いているのか(魚からどう見えているのか)を意識する必要があります。
ボトム系ルアーであれば、リフト&フォールのリフト幅や速さ、間隔、巻き速度などを調整し、最も魚の興味を引き、できるだけ警戒心を与えない動きをさせる必要があります。
■終わりに
後半はちょっとマニアックな内容になってしまいましたが、最後まで読んでいただいた方は「管釣りという沼」の一端を感じていただけたのではないでしょうか。
最後に、自分がこのような記事を書く理由について少し触れておきたいと思います。
極端な話ですが「自分が釣る」だけなら、このような知識・ノウハウを公開する必要はありません。逆に、このような記事を書くことで短期的には魚がより釣られてルアーに慣れることで自分の釣果が落ちる可能性すらあります。
しかし、エリアトラウトは「自分だけ楽しめればいいや」と割り切るにはあまりにも楽しく、奥が深く、無限の可能性を感じる趣味だという思いがあり、もっと多くの人にこの楽しさを知ってほしいと強く願っています。
また、この趣味を末永く楽しんでいくためには、(特に北海道の)管釣り人口自体をもっと増やす必要があると考えています。管釣り人口が増える⇒管理釣り場の収益が増える⇒放流魚が増える⇒より釣れるようになるという好循環を期待して、筆を置きたいと思います。
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